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2010年10月27日水曜日

神山アーティストインレジデンス<KAIR>


先日、神山アートインレジデンス<KAIR>に行って来ました。
全世界から作家を公募し、神山町の支援の元、約二ヶ月間現地にて制作、発表していくというプロジェクトです。2010年は5名の作家が100名の応募の中から選ばれ、作品を展示していました。
すごいところは、民間のボランティアの方々が運営に協力し、精力的に活動され、レジデンスとして成功している数少ない例であるということです。

ニューアート・ZERO会でお世話になっている原さんがそちらでKAIRの運営をされているということで、泉南でレジデンスを10年間されてきた北村さんと意気投合、神山に招待され、わたしもオマケで連れて行っていただきました。
何と、私にとって人生初の、淡路島、そして四国でした。
 明石海峡大橋。
 淡路島が見えます。

現地でみるさんと、初めてお会いする、九州大学、農学博士の中司先生と合流し、神山ホテルのロビーで自己紹介などをしました。中司先生は、『農業と芸術』の関連性に興味を持っておられ、とても誠実でお優しい先生で、人見知り名私もすぐに心穏やかに打ち解けることができました。
雨の中みるさんの車に乗せていただき神社の天井画を見に。

 みるさんの描かれた渦潮の絵がありました、
鳴門海峡の渦潮でしょうか。
くたびれた板の上に描かれた女性。
惹かれます。

どこか寂しそうな馬さん。

そして、神社を出て次々と作品をめぐっていきます。
(残念なことに、雨天の為、屋外に展示してある作品は見に行くことができませんでした。)

 堀由紀江さんの作品。
家の間取りを表しているそう。
無機質な雰囲気がなぜだかそこに人が住むことを感じさせません。

こちらの酒蔵(をギャラリーに改装した場所)では廣田緑さんの作品が建物一杯に展示されていました。

思い出と交換するオブジェ。

神山町88人巡りと題して、神山町に住んでおられる方々の戦争体験と交換に、オブジェを渡すというもの。
その体験談とともに預けられた思い出の品物が展示されていました。


映像でもお話を聞く事ができました。
『人間、生きたくても生きられへんし、死にたくても死なれへん。』
など、戦争を経験した方々か生の声でお話される言葉一つ一つが胸に刺さるようで、
聞くのも辛くなるようなエピソードも多々ありましたが、
目を背けないでこの先の未来に
同じ家族(人間)が殺し合い、血と涙をを流す、
そんな争いや悲しみは絶対になくしていかなくてはならないと、
強く感じさせてくれるものでした。
そうやって貴重な体験の橋渡しをしてくれている、
廣田さんはとても貴重なお仕事をされていると、心から思いました。


 ポーワングさんの作品。
神山音頭をタイプライターで打ち込み、その音をピアノソナタにアレンジしているというもの。
民家の壁に直接映しこんでいました。

神山町のこども達の力作も。
民家のふすまにありました。

お昼ごはんは『梅星』さんへ。
時間が止まったようで懐かしい、
とても素敵なお店でした。

 マリリン・モンロー。
 みるさんが注文したやきそば。
生姜が花びらのように美しく添えられています。
 わたしはおすすめというビビンバを。
これで500円。
都会ではまず食べられないだろうなあ。
とってもおいしかったです。
 デザートに出してくださった栗の渋皮煮。
『今年の栗は美味しくないから、まずかったら交換するから言ってね。』と、おかみさん。
とんでもない!。とっても美味しかったです。
ごはんを食べた後はKAIRの事務局へ。凄く立派な建物でした。
それなのに職員の方が一所懸命お掃除されていて、中はピカピカなのです。


アダム・アウ゛ィカイネンさんの作品。
日本へ来て、藍染に興味をもち、染めるようになったそう。
 深い海の底にいるような繁った森の中にいるような。

 よく見ると表面には直筆でなにか描かれていますね。
情熱を感じました。素晴らしかったです。


KAIR事務局のロビー。
グリーンバレーの河野さんともお話させていただきました。
明るくて透明感の在るとっても素敵な方でした。
バス亭。
う~ん。
すてき。
お昼寝しちゃいそう。

 劇場寄井座へ。
 味のあるスリガラス。
 ポーワングさんの作品がありました。
おお・・
おもしろい。なんだこれは。
「ゆうえんちだーーー!」
と思わず叫んでしまった私。

懐かしく切なく楽しく。
過ぎ去った子供のころを思い出すようです。
メリーゴーランドをあえて簡素化し、分解して展示することで、概念の枠をはずし、記憶の無意識の部分で感じ取る作品なのだそうです。

二階部分にはこども達の作品がありました。
なんとも不思議な空間。
高所恐怖症の私はちょっと怖かったです^^;


最後は体育館。
イク゛ウ゛ァース・ザランスさんの作品は絵画でした。
 お供えのお菓子が貼り付けられています。
 よくみると、新聞が。
日本へ来て面白いと思ったものを積極的に取り入れているようです。
 ちょうちょのなきがらが下部にありました。
心の中で私はこの作品を
『レクイエム』と名づけました。
 巨大な作品。
ランニングしておられる方がいらっしゃり、
とても開放的な雰囲気です。


最後になりましたが、
美しい自然の中に、ひとと、芸術が同居して息づいているようで、
それなのになんの違和感もなく、
暮らす人々がごく自然に芸術に興味を持っておられることに
わたしはとても感銘を受けました。
芸術というものが
特別なものではなく、
こういったように、そこに古いバス亭や、おいしいごちそうを目の前にするように、
ごく普通に共存するということのすばらしさを
強く実感しました。
そんな場所が増えていくことを願います。

とても豊かな時間を過ごさせていただき、ありがとうございました。

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